王昭君二首 李白34
李白 王昭君を詠う 二首 五言絶句 王昭君
雑言古詩 王昭君
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五言絶句
王昭君 李白
昭君払玉鞍、上馬啼紅頬。
今日漢宮人、明朝胡地妾。
王昭君は白玉の鞍を軽く手で払い、
馬に乗ってその紅い頬に涙で濡らす。
今日までは漢の王宮の人なのに、
明日の朝には匈奴の妾そばめとなってしまうのだ。
実際には王昭君は王妃として迎えられています。李白は漢の後宮にいたあこがれの存在であったものが、胡の妾になるという悲劇性を強調され、韻に用いたものである。
絶世の美女でありながら宮廷画工の毛延寿に贈賄しなかった事で醜女に描かれ、そのため匈奴に送られ、長城を越えるところで嘆き死んだとされる王昭君の悲劇譚は、華北を支配した異民族に圧迫された六朝時代に成立したものと考えられる。王昭君伝説は以後も脚色を重ねて戯曲『漢宮秋』となり、傑作として欧米にも紹介された。六朝の詩歌を完成させた李白の有名な詩である。
韻 頬、妾
昭君払玉鞍、上馬啼紅頬。
今日漢宮人、明朝胡地妾。
王昭君
昭君、玉鞍を払い、
馬に上って紅頬に泣く。
今日漢宮の人、
明朝胡地の妾。
雑言古詩
王昭君 李白
漢家秦地月、流影照明妃。
一上玉関道、天涯去不帰。
漢月還従東海出、明妃西嫁無来日。
燕支長寒雪作花、娥眉憔悴没胡沙。
生乏黄金枉図画、死留青塚使人嗟。
漢の世に、長安の夜空に上った月、
流れるような月影はあの明妃を照らした。
ひとたび玉門関の旅路についた、
天涯帰ってはこない。
漢の月はまた同じように東海からのぼる、
明妃は西に嫁いだきり戻ってくることはない。
燕支の山はいつも寒く、雪が花のように降り、
美しい眉の佳人は憔悴し胡の砂漠の地で没した。
生きていた時は賄賂を贈らなかったので醜く描かれ、
死んで留めているのは青塚であり、人々を嗟かせている。
青塚は王昭君の墓。詳細は
王昭君ものがたり。
漢家秦地月、流影照明妃。
一上玉関道、天涯去不帰。
漢月還従東海出、明妃西嫁無来日。
燕支長寒雪作花、娥眉憔悴没胡沙。
生乏黄金枉図画、死留青塚使人嗟。
漢家 秦地の月
流影 明妃を照らす
一たび玉関の道に上り
天涯 去って帰らず
漢月は還た 東海より出づるも
明妃は西に嫁して 来る日無し
燕支 長えに寒くして 雪は花と作り
娥眉 憔悴して 胡沙に没す
生きては黄金に乏しく 枉げて図画せられ
死しては青塚を留めて 人をして嗟かしむ