http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/    http://kanbun-iinkai.com    http://3rd.geocities.jp/miz910yh/  http://kanbuniinkai7.dousetsu.com http://kanbuniinkai06.sitemix.jp/   http://kanbuniinkai.web.fc2.com/ http://kanbuniinkai12.dousetsu.com/   http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/

漢詩総合サイト

漢詩ジオシティーズ倶楽部

漢文委員会 fc2支部







































兵車行
(1)
車輪輪,馬蕭蕭,
行人弓箭各在腰。
耶孃妻子走相送,
塵埃不見咸陽橋。
牽衣頓足闌道哭,
哭聲直上干雲霄。

(2)
道旁過者問行人,
行人但云點行頻。
或從十五北防河,
便至四十西營田。
去時里正與裹頭,
歸來頭白還戍邊。

(3)
邊庭流血成海水,
武皇開邊意未已。
君不聞漢家山東二百州,
千邨萬落生荊杞。
縱有健婦把鋤犁,
禾生隴畝無東西。
況復秦兵耐苦戰,
被驅不異犬與鷄。




(4)
長者雖有問,役夫敢申恨
且如今年冬,未休關西卒
縣官急索租,租税從何出
信知生男惡,反是生女好
生女猶得嫁比鄰,生男埋沒隨百草。




(5)
君不見青海頭,
古來白骨無人收。
新鬼煩冤舊鬼哭,
天陰雨濕聲啾啾。





時代の変遷・概略 漢詩理解のための時代の解説一覧
 中国の時代と詩人のたち
上代から漢の詩人
孔子 孟子 屈原 宋玉 荊軻 項羽
から三国、隋の詩人
武帝 蘇武 王昭君 卓文君 蔡邑
曹操 曹丕 曹植 阮籍 陶淵明 

 唐代の詩人
  ・初唐の詩人たち
魏徴 王勃 蘆照鄰 駱賓王 沈栓期 宗之問 上官儀 上官宛兒 劉希夷
  ・盛唐の詩人たち
張説 張九齢 賀知章 孟浩然 王維 裴迪 王昌齢  王翰 賈至 高適 李白 杜甫 岑參 王之渙 
  ・中唐の詩人たち
韋応物 劉張卿 孟郊 柳宗元 劉禹錫 白楽天 張継 顔真卿 元槇 薛濤
  ・晩唐の詩人たち
杜牧 李商隠 温庭均 高胼 曹松  魚玄機
 
 宋代から近代詩人
蘇東坡 欧陽脩 司馬光 晏殊 王安石 曹鞏 岳飛 陸游 朱熹 辛棄疾 高啓 秋瑾 

  女性詩人たち 
雰囲気の柔らかい詩を書く詩人たち

 ・王昭君  卓文君 劉細君
 白楽天 王昭君を詠う二首
 ・班u、  蔡炎  謝眺
 ・上官宛兒   楊貴妃
 ・薛濤(せつとう)  唐宛
 ・魚玄機の詩   秋瑾

中国4000年の奇跡

杜甫・王維・李白の生きた時代:関連年賦

○安史の乱と3詩人編集中

杜詩研究

●杜詩研究編集中

○ 杜甫詩 1411首
  ・ 年賦・詩の時系序列
○ 杜甫 詩目次と詩のタイトル
○ 杜甫アウトライン
○ 杜甫ものがたり編集中
○ 杜甫 李白を詠う

◎ 青年期と李白と遭遇期
◎ 李白と別離仕官叶う期
◎ 漂泊の旅情期

○ 杜甫私記編集中
○ 杜詩研究編集中

 杜甫の人生(一般論)
  吉川幸次郎『杜甫ノート」の要約
 杜甫間違った士官の
 杜詩『白髪の詩」の変遷
 杜詩「政治的発言」変化
 杜詩「愛すべき詩」
  中国詩史上初、妻を愛す詩
 杜詩「自然への愛」
 杜詩「抑圧された人への愛」
  中国詩史上初、社会で抑圧された人を詠う
 杜詩「調子に乗ってしまった?」
 杜甫の人生
  杜詩の画期的時期につぃて

◎ 杜甫 李白を詠う
  ・贈李白[五言律排]
  ・贈李白[七言絶句]
  ・遣懐
  ・春日憶李白
  ・飲中八仙歌
  ・昔游
  ・冬日有懐李白



王維の詩

● 王維詩研究

  ・ 王維詩 
    年賦・詩の時系序列
○ 王維 詩目次と詩のタイトル
○ 王維詩アウトライン
○ 王維ものがたり(一般論)
○ 王維ものがたり(画期的時期)研究
   王維 罔川集 20首


李白の詩
■ 李白の詩
 ・送別の詩  ・春爛漫詩
 ・楼上の詩  ・交友の詩
 ・情愛の詩  ・酒友の詩
 ・夏日の詩  ・戦乱の詩
 ・懐古の詩  ・気概の詩
 ・旅情の詩  ・望郷の詩
 ・閑適の詩  ・老境の詩
 ・冬日の詩  ・人生の詩
◎ 李白杜甫を詠う
漢詩総合サイト

http://kanbuniinkai7.dousetsu.com


兵車行
○兵車 いくさぐるま。此の詩は兵車の動く声をきいて作った。兵車行と題する。詩中(4)の「且如二今年冬↓未レ休関西卒」の二句が此の篇の製作年代を決定します。そのことについて、天宝九載十二月に関西遊奔使王難得が杜藩を撃って五橋に勝った事実から判断されます。

車??,馬蕭蕭,行人弓箭各在腰。
○燐輪 車のがらがらなるおと。○粛粛 馬のいななくさま。○行人 兵役に赴くひと。○在腰 こしにおびている。

耶孃妻子走相送,塵埃不見咸陽橋。
牽衣頓足闌道哭,哭聲直上干雲霄。(1)』

道旁過者問行人,行人但云點行頻。
或從十五北防河,便至四十西營田。
去時里正與裹頭,歸來頭白還戍邊。(2)』

邊庭流血成海水,武皇開邊意未已。
君不聞漢家山東二百州,千邨萬落生荊杞。
縱有健婦把鋤犁,禾生隴畝無東西。
況復秦兵耐苦戰,被驅不異犬與鷄。(3)』

長者雖有問,役夫敢申恨。
且如今年冬,未休關西卒。
縣官急索租,租税從何出。
信知生男惡,反是生女好。
生女猶得嫁比鄰,生男埋沒隨百草。(4)』

君不見青海頭,古來白骨無人收。
新鬼煩冤舊鬼哭,天陰雨濕聲啾啾。(5
○耶 爺と同じ、ちち。○嬢 はは。○咸陽構 咸陽は県の名、洞水をへだてて長安より北の岸にある。橋は咸陽へ渡るための橋で、西洞橋のことか、或は中洞橋のことという。○牽衣 行く人を行かせまいととして引っ張る。○頓足 地団太を踏んでいるようす。慟哭のときを示す。0道 道路をさえぎる、ゆくてのじゃまになること。牽、頓、欄、哭などはみな沿道の爺婆妻子らのしている動作を示す。○零 あおぞら。○道勇退者 みちをとおりすぎるもの、第三者をいう。○点行 点とは人名の頭に筆を以て点をつける、すなわち点つけをしてしらべること、行とは兵行。点レ行は兵役に赴かしめることについて点検すること。此の「点行頻」より最後の「声秋秋」までは行人の答辞である。〇十五、四十 開元十五年に十五歳のものであるならば天宝九載に至っては三十八歳である、四十というのは成数を挙げたもの。○防河 河は
黄河、河を防ぐとは夷秋の侵入を黄河の辺に至ってふせぐことをいう。開元十五年秋、吐春が害をなしたので関中の兵万人を徴して臨桃に集め、これを防がせたことがある。○営田耕田のしごとをする、これは屯田することをいう、屯田しながら吐巷の防備をすること。○去時防河に赴いたときをいう。○里正村長。○与我がためにの意。○裏頭本邦の鉢巻きの類、鳥雄三尺を以て頭をつつむ。丁年になれば裏頭をなすという、出陣のすがたである。○帰来北からもどる。○頭目年よることをいう。○還また、俗語である。○成辺辺は辺境、くにざかい、吐蕃の地方をいう、これは長安より西方にあたる。常田と成辺とは同一事である。「去時」の句は「十五」の句を承け、「帰来」の句は「四十」の句を承けるくみたてになっている。○辺庭国境にちかい戦場。○成海水多くあふれる。○武皇漢の武帝をいう。武帝は西域地方まで侵略して辺境を開拓した人で、唐の玄宗をたとえていう。○開辺辺地をひろげて我が方へとりいれるという意、開辺のこころ。○漠家漢の国家、ここでは唐の国家をいう。○山東華山より東という説と、大行山より東という説と
があるが後説を取る。〇二百州唐では函谷関より東に七道、二百十七州があった。二百とはおおよそをいう。〇万落落は散在している民居をいう、むらのこと。○刑いばら。○杷くこ。○健婦強健なおんな、夫の留守をするもの。○把手にとる。○鋤撃鋤も撃もすき。○禾すべて穂をだす植物をいう、むぎ、きび
の類。○陳畝おか、うね。○無東西西も東もないとは行列が正しくなくて乱雄であることをいう。○秦兵秦とは地理上よりいう、長安の地方、即ち此の行人の出生地、ここの兵は昔より強いことを以て著われる。○耐苦戦なんぎなたたかいにたえることができる。○駆あとからおいたてる。○長者年うえのおかた、行人より道勇退者、即ち質問をした人をさす敬称。○役夫兵役に従うもの、行人自ずからを謙遜してかくいう。○伸恨うらみの心を十分にはらすようにする。○今年前にのべたように天宝九載、王難得が吐巷を撃ったときをさす。○休休息、帰休。○関西卒関西は陳西のこと。関西卒とは陳西・吐春にてはたらく兵。東宮或は天子をさすといい、或は国家をさすというが、後の解による。県官は国家の代表のこと。○索 ほたる。○租 唐の税制は租・調・席の三つより成り、租は穀を出し、調は兵を出し、庸は絹を出す。○従何 何処から。○信知二句 漢の衛皇后の歌に「男ヲ生ンデ喜ブコト無力レ、女ヲ生ンデ怒ルコト無力レ」、又民間の歌辞に「男ヲ生ンデ喜ブコト勿ク女ヲバ悲シムコト勿カレ、君今二着ン女ノ門楯トナルヲ」、陳琳の詩に「男ヲ生メバ慎、、、テ挙ブルコト莫カレ、女ヲ生メバ哺スルニ肺ヲ用イヨ」などとあり、古来女を生むことを喜ぶうたがあるが、唐では「楊大兵外伝」に当時の歌謡をのせていう、「女ヲ生ンデ悲酸スルコト勿カレ、男ヲ生ンデ喜歓スルコト勿カレ」、又いう「男ハ侯二封ゼラレズ女ハ妃卜作ル、女ノ郁ッテ門上ノ楯卜為ルヲ看ヨ(二一云ク、君看ヨ女ハ却ッテ是レ門楯ナルヲ)」と。作者は当時のはやりうたについていったものであろう。○嫁 よめにゆく。○此鄭 比も郷も五家をいう。○埋没 死んで土中にうずめられる。○随 まにまに。○百草 種々の雑草。○青海 今の甘粛省と西蔵との中間に横たわる地、その地に湖があって青海という。唐の時の吐谷津の地で、吐春の居る処。○白骨 戦死者のさらされたはね。○収 とりかたづける。○新鬼、旧鬼 鬼とは人の死者をい、つ。「左伝」文公二年に「新鬼ハ大、故鬼ハ小」の語がある。○煩冤 心もだえて不平なさま。○秋秋 かごとがましくなくさま。

くもってしめっぼい天気のおりなど彼等のなきごえが欺々ときこえでいる。

■ 杜甫 社会派の詩
 14 兵車行  


■ 天宝10載,751年,40歳,七言歌行,24兵車行

車リンリン??,馬蕭蕭で始まる特徴的な詩です。[世は太平]とうかれた感がある中、中国の西、ウイグル自治区のあたりで唐軍が大敗し、その後、唐軍が勝ちますが、油断ができません。その上チベットが青海地方に進出してきます。このため唐軍の大半が西方に向かいます。杜甫は長安の町で毎日その光景に遭遇します。崩れていても戦になれは府兵制度は農民の上にのしかかります。杜甫は、均田制・租庸調と府兵制度、律令体制、朝廷の軍事政策に対し強い疑念を抱いていました。そうした中でこの作品は作られました。自分の生き方に疑問を持ち始めたころでした。リアリズムな詩の処女作になります。当時の中国西方には何もなく砂漠を超える部隊の場合荷物満載の馬車等も相当数で、朝から晩まで毎日続き砂塵はすごかったとおもいます。


兵車行 兵車行
車輪輪,馬蕭蕭,行人弓箭各在腰。
耶孃妻子走相送,塵埃不見咸陽橋。
牽衣頓足闌道哭,哭聲直上干雲霄。』-(1)

道旁過者問行人,行人但云點行頻。
或從十五北防河,便至四十西營田。
去時里正與裹頭,歸來頭白還戍邊。』-(2)

邊庭流血成海水,武皇開邊意未已。
君不聞漢家山東二百州,千邨萬落生荊杞。
縱有健婦把鋤犁,禾生隴畝無東西。
況復秦兵耐苦戰,被驅不異犬與鷄。』-(3)

長者雖有問,役夫敢申恨。
且如今年冬,未休關西卒。
縣官急索租,租税從何出。
信知生男惡,反是生女好。
生女猶得嫁比鄰,生男埋沒隨百草。』-(4)

君不見青海頭,古來白骨無人收。
新鬼煩冤舊鬼哭,天陰雨濕聲啾啾。』-(5)


(1)
車はガラガラ、馬はヒヒーン、出征兵士は、弓矢を各々腰に着けている。
父と母、妻と子は、走って見送って、砂煙で、咸陽橋が見えなくなる。
上着を引っ張ったり、地団駄を踏んだり、足にしがみついたり、道をさえぎって、声をあげて泣いているし、啼き声は、真っ直ぐにたち上って、雲のある大空にまでとどいている
(2)
道端の通りすがりの者が問い尋ねると、出征兵士がただ、云うことには、徴兵が頻(しき)りなされている。
或る者は十五歳から、北の方の黄河(上流)の防衛戦の守備に就き、そのままで、四十歳になって、西の方の屯田兵を命ぜられた。
出征する時、村長は出征の装束の頭巾をかぶせてくれた。帰ってくたら、(もう)頭髪が白くなっているのに、なおまた辺疆を防備する(ことを命ぜられた)。
(3)
国境附近の戦闘による流血は、海のようになった。漢の武帝(唐・玄宗を暗示)の辺疆を開こうという意図は、まだ終わらない。
あなたは、聞いたことがあるでしょう、我が国家の山東の二百州のことを。あらゆる村々では(荒れ果てて)いばらや枸杞(くこ)の雑木が生い茂ったことを。
喩え健気な妻が、鋤(すき)などの農機具を(手に)執り持って(健闘した)としても、稲や穀類が田圃に生え、荒れて茫茫に生えた中に畝も隠れ、西も東もなくなった無秩序な状態になっている。
まして、秦の兵士は、いくら(勇猛で)苦戦に耐えていく(能力がある)とはいっても、追い立てられて、(使役されるのは)犬や鶏といった小動物や家畜と違わない。
(4)
あなたさまがそのようにお訊ねになりますが、それがしは、積極的にうらみごとを申せましょうか。
今年の冬のごときは、関西(秦の故地である陝西)への出兵が、終わることがない(のに)。
県の徴税吏は、租税を急にもとめていました。
租税(の穀物)なんて、一体どこから出てきましょうか。
男の子を産むことは好くないことだと本当に分かった。
(これと)反対に、女の子を産むことは好いことだ。
女の子を産んだら、まだ近所へお嫁に行かせることができるが、男を生めば、(兵卒となって屍を)雑草の中に埋もれ伏してゆくことになる。
(5)
あなたは、見たことがないのか、青海湖の畔(では)、昔から今まで(戦死した兵士の)白骨を誰も収めていない。
(今回の戦役で亡くなった)新たな霊は、わずらいもだえて、(昔の戦役で亡くなった)霊は、声をあげて啼いており、空が曇り、雨で湿る折には、死者の魂が悲しげにしくしくと泣いている声を。






兵車行
(1)       
車 ??(りんりん),馬 蕭蕭(せうせう),
行人の 弓箭(きゅうせん)各ゝ(をのをの)腰に在り。
耶孃(やぢゃう) 妻子  走りて 相(あ)ひ送り,
塵埃(ぢんあい)に 見えず  咸陽橋(かんやうけう)。
衣を牽(ひ)き足を頓し 道を闌(さへぎ)りて 哭し,
哭聲 直上して  雲霄(うんせう)を干(をか)す。
道旁の 過ぐる者  行人に 問へば,
行人 但(た)だ云(い)ふ 點行頻(しき)りなりと。
(2)
或は 十五 從(よ)り  北のかた 河に防ぎ,
便(すなは)ち 四十に至るも  西のかた 田を營む。
去る時 里正  與(ため)に 頭を裹(つつ)み,
歸り來(きた)れば 頭 白くして  還(ま)た 邊を戍(まも)る。
(3)
邊庭の流血  海水を 成せど,
武皇 邊を開く  意は 未だ已(や)まず。
君 聞かずや  漢家 山東の二百州,
千村 萬落  荊杞(けいき)を 生ずるを。
縱(たと)ひ健婦の鋤犁(じょり)を把(と)る有りとも,
禾(いね)は 隴畝(ろうほ)に生じて東西(とうざい)無し。
況(いは)んや復(ま)た  秦兵は 苦戰に耐ふとて,
驅らるること   犬と鷄とに 異らず。
(4)
長者  問ふ有りと雖(いへど)も,
役夫(えきふ)  敢(あへ)て恨みを申べんや。
且つ  今年の冬の 如きは,
未だ  關西(くゎんせい)の卒を 休(や)めざるに。
縣官  急に租を索(もと)め,
租税  何(いづ)くより 出(い)ださん。
信(まこと)に 知る  男を生むは惡(あ)しく,
反って是れ  女を生むは好(よ)きを。
女を生まば猶(な)ほ 比鄰(ひりん)に嫁するを得るも,
男を生まば 埋沒して  百草に隨(したが)ふ。
(5)
君 見ずや  青海の頭(ほとり),
古來 白骨  人の收むる 無く。
新鬼 煩冤(はんゑん)し  舊鬼 哭し,
天陰(くも)り雨濕(しめ)るとき聲啾啾(しうしう)たるを。