68秋登宣城謝眺北楼

李白68秋登宣城謝眺北楼


李白は5つのとらえ方で詩をとらえていかないといけない。その中でかなり多いのが、故事を新しくしてよみがえらせることに大きな役割を示している。
李白は第一に、叙事性を発展させた。李白の楽府を前代のものにくらべると「おはなし」的要素がふえている。第二に、シーン造型が巧みであり、豊富である。六朝の類型的な表現をやぶって、情景を印象ぶかく描き出し、その上に、可能なかぎりの連想をはたらかせている。第三に空想力がたくましい。無限の可能性をもつ世界へのあこがれは、ひろい民衆の層の共感をかちえた。第四に快楽を謳歌した。従来の詩人がおおむね感情の沈潜に向うのに反して、李白は活動的であり、びとびとのよろこびやすい詩をつくった
 第五に、これらの四つの事項は李白天才性を表している。そして思想的背景に道教にあり、すべてに関連しているのだ。。





秋登宣城謝眺北楼
江城如畫裏、山曉望晴空。
兩水夾明鏡、雙橋落彩虹。
雙橋落彩虹、人烟寒橘柚。
人烟寒橘柚、秋色老梧桐。
誰念北樓上、臨風懷謝公。


長江に臨む宣城の街は、さながら絵の中の風景。山に日が傾くころ晴れわたった空を眺める。
街を流れる両の川は 夕日に映えてあかるい鏡のようで双つの橋を彩やかな虹の輝きを落おとす
人いえの煙は立ち上る ミカンの実は寒そうだ。秋の気配に青色の桐は枯れている。
いま、誰たれが北楼の上で佇んでいる、秋風に吹かれているここでありし日の謝公を懐う気持ちはたれが分かってくれるのか

秋登宣城謝?北樓
(秋あき、宣城せんじょうの謝?しゃちょう北楼ほくろうに登のぼる)
?五言律詩。空・虹・桐・公(平声東韻)。
『宋蜀刻本唐人集叢刊 李太白文集』(上海古籍出版社)には、題下に「宣城」との注あり。

江城如畫裏、山曉望晴空
長江に臨む宣城の街は、さながら絵の中の風景。山に日が傾くころ晴れわたった空を眺める。
?曉 … 『瀛奎律髓刊誤』(掃葉山房)では「色」に作り、「曉」との傍注あり。『靜嘉堂文庫蔵宋刊本 李太白文集』(平岡武夫編『李白の作品』、京都大学人文科学研究所)、『宋蜀刻本唐人集叢刊 李太白文集』(上海古籍出版社)、『分類補註李太白詩』(『四部叢刊 初篇集部』所収)、『(分類補註)李太白詩』(『和刻本漢詩集成 唐詩2』所収)、『李翰林集』(江蘇廣陵古籍刻印社)、王g編注『李太白全集』(中国書店)では「晩」に作る。

兩水夾明鏡、雙橋落彩虹。
街を流れる両の川は 夕日に映えてあかるい鏡のようで双つの橋を彩やかな虹の輝きを落おとす

人烟寒橘柚、秋色老梧桐。
人いえの煙は立ち上る ミカンの実は寒そうだ。秋の気配に青色の桐は枯れている。
?寒  『宋蜀刻本唐人集叢刊 李太白文集』(上海古籍出版社)、王g編注『李太白全集』(中国書店)には「一作空」との注あり。

誰念北樓上、臨風懷謝公。
いま、誰たれが北楼の上で佇んでいる、秋風に吹かれているここでありし日の謝公を懐う気持ちはたれが分かってくれるのか
?懷 … 『瀛奎律髓刊誤』(掃葉山房)では「憶」に作る。


江城こうじょう 画裏がりのごとく、山やま暁あけて 晴空(せいくう)を望のぞむ。
両水りょうすい 明鏡めいきょうを夾はさみ、双橋そうきょう 彩虹さいこうを落おとす
人烟じんえん 橘柚きつゆう寒さむく、秋色しゅうしょく 梧桐ごとう老おゆ。
誰たれか念おもわん北楼ほくろうの上うえ 、
風かぜに臨のぞんで謝公しゃこうを懐おもわんとは