李白40 春歸終南山松龕舊隱
李白40 春歸終南山松龕舊隱
五言古詩
晩秋から春にかけての北辺の長旅だったが、求職の進展はなかった。事情はなにも変わらず、館にはバラや女羅(ひかげかずら)や草はあるじなしでも成長していた。酒樽をもってこさせて一人酒をたのしむ。久しぶりの家で詠った。
春歸終南山松龕舊隱
我來南山陽、事事不異昔。
卻尋溪中水、還望岩下石。
薔薇?東窗、女蘿繞北壁。
別來能幾日、草木長數尺。
且復命酒樽、獨酌陶永夕。
自分が南山の南にきてみると、何事も昔と変わらない
却ひとえに谷川の流れを求め、また巌いわおの下の石を眺めても同じ
バラは 東の窓に這いあがり、女羅は 北の壁に巻きついている
一別してから 幾日もたっていないのに、草木は数尺も伸びている
では まずは酒樽でも持ってこさせ、独酌で 永い夕べをたのしもう
春 終南山の松龍旧隠に帰る
我 南山の陽ように来きたる
事事じじ 昔に異ことならず
却ひとえに渓中けいちゅうの水を尋ね
還また巌下がんかの石を望む
薔薇しょうび 東窓とうそうに縁より
女羅じょら 北壁ほくへきに繞めぐる
別来べつらい 能よく幾日ぞ
草木そうもく 長ずること数尺
且しばらく復また酒樽しゅそんを命じ
独酌どくしゃく 永夕えいせきを陶たのしまん
李白の終南山の寓居は長安から20km以上離れていた。