65陌上贈美人


李白65陌上贈美人


陌上贈美人
駿馬驕行踏落花。 垂鞭直拂五雲車。
美人一笑?珠箔。 遙指紅樓是妾家。


元気な馬はいきりたって行き、散り落ちる花をふみしだく。馬上の少年はむちを垂らし、すれちがう美しい五雲の馬車をさっと打ち払った。
車の中の美人はにっこり笑い、真珠のすだれをまくりあげ、はるかむこうの紅い楼閣をゆびさして、あれがわたしの家なのよ。


陌上贈美人
大通りで出会った美人に送る詩
○陌 大道。 


駿馬驕行踏落花。 垂鞭直拂五雲車。
元気な馬はいきりたって行き、散り落ちる花をふみしだく。馬上の少年はむちを垂らし、すれちがう美しい五雲の馬車をさっと打ち払った。
○駿馬 元気なりっはな馬。 ○驕 馬がいきりたって、人のいうことをきかない。散った花をしばらくそのままにして楽しむのが風流とされる。王維「田園楽」にみえる。〇五雲車 伝説では、五色の雲で出来た仙人の乗る馬車。 


美人一笑?珠箔。 遙指紅樓是妾家。
車の中の美人はにっこり笑い、真珠のすだれをまくりあげ、はるかむこうの紅い楼閣をゆびさして、あれがわたしの家なのよ。
○? まくりあげる。○珠箔 真珠のすだれ。 ○紅楼 朱塗の高殿。 ○妾 女の一人称。


少年は李白である。少年は若い男性を言う。


駿馬驕(おごり)行いて、落花を踏む。鞭を垂れて直ちに拂う、五雲の車。
美人一笑 珠箔を?げ、 遙かに紅樓を指す 是れ妾が家と。



李白60謝公亭

謝公亭  
謝公離別處。 風景?生愁。
客散青天月。 山空碧水流。
池花春映日。 窗竹夜鳴秋。
今古一相接。 長歌懷舊游。


謝公亭は 別れの場所で知られたところ、辺りの風景は いつも哀愁を感じさせる。
人々が 散りぢりになった後青い夜空には月だけが輝き、人気の無い山中には 青い水だけが流れる。
池のほとりの花は 日光を受けて明るく映え、窓辺の竹は 秋には夜風を受けてさらさらと鳴る。
ここ謝公亭においてこそ 現在と過去とは一緒に結ばれている、緩やかな調べで歌いつつ 在りし日の交遊のさまを偲ぶのだ


謝亭離別處。 風景?生愁。
謝公亭は 別れの場所で知られたところ、
辺りの風景は いつも哀愁を感じさせる
○謝公亭 安徽省宣城県の郊外にあった。李白の敬愛する六朝の詩人、謝?むかし宜州の長官であったとき建てた。苑雲という人が湖南省零陵県の内史となって行ったとき、謝?は出来たばかりの亭で送別し、詩を作っている。


客散青天月。 山空碧水流。
人々が 散りぢりになった後青い夜空には月だけが輝き
人気の無い山中には 青い水だけが流れる


池花春映日。 窗竹夜鳴秋。
池のほとりの花は 日光を受けて明るく映え
窓辺の竹は 秋には夜風を受けてさらさらと鳴る


今古一相接。 長歌懷舊游。
ここ謝公亭においてこそ 現在と過去とは一緒に結ばれている
緩やかな調べで歌いつつ 在りし日の交遊のさまを偲ぶのだ
○舊游 謝?の時代の交友のありさまを言う。苑雲との交流を意識している。


 李白は尊敬しある時はその詩を模倣もした謝?ゆかりの亭に来た。昼間は多くの人がここで別れた。出征前のひと時を過ごしたのか。同じ景色を愛でても後にはその景色だけが残っている。別れの悲しみを月、清い水、花、窓辺を静かに詠っている。別れを悲しみだけで詠わない李白、自慢の形式である。


謝亭 離別の處、 風景 ?(つね)に愁を生ず。
客は散ず 青天の月、 山 空しくして碧水 流れる。
池花 春 日に映じ、 窗竹 夜 秋に鳴る。
今古 ひとえに相接する、長歌して舊游を懷う。