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水檻遣心


8 水檻遣心 (成都、浣花渓に草堂を)
 成都浣花渓、草堂の周りの情景を詠っています。当時の成都の戸数は、おおよそ三〜四万戸。古都で、当時としては大都会です。その郊外、長江の流れのそばに草堂を立て、ゆっくりとした時間を過ごします。
上元元年 760年49歳

 水檻遣心 杜甫154

水檻遣心
去郭軒楹敞、無村眺望?。
澄江平少岸、幽樹晩多花。
細雨魚児出、微風燕子斜。
城中十万戸、此地両三家。

水檻に心を遣る  
我家は城外にあり軒のきも柱もゆったり、付近に村はない 眺望もよい
澄んだ川水は 岸に溢れる様に流れ、静かに茂る樹、
晩春の花は咲きほこる
小ぬか雨に魚は顔をちょっと出し、そよぐ風、燕は斜めに飛ぶ
城中、十万戸、この地は両隣、二三軒だけ。

 成都浣花渓、草堂の周りの情景を詠っています。当時の成都の戸数は、おおよそ三〜四万戸。古都で、当時としては大都会です。その郊外、長江の流れのそばに草堂を立て、ゆっくりとした時間を過ごします。

○郭 中国の街は塞の塀のように町がぐるっと囲まれています。街のこと。また、城郭ともいう。 ○軒楹かんえい 軒と広間にある大きな柱のこと。 ○敞 しょう ひろびろとしているさま。開けている。
○眺望余 眺望(見晴らし)に余韻か残る。眺めがよいことをあらわす。 ○細雨 小ぬか雨  ○魚児出 魚がちょこっと顔を出す。



郭(かく)を去って軒楹(けんえい)敞(ひろ)く、村無くして眺望(?(はる)かなり
澄江(ちょうこう) 平らかにして岸少なく、幽樹(ゆうじゅ)晩(おそ)くして花多し
細雨(さいう) 魚児(ぎょじ)出で、微風(びふう)燕子(えんし)斜めなり
城中(じょうちゅう) 十万戸、此の地 両三家(りょうさんか)

水檻に心を遣る  
草堂は城外にあって軒(のき)も柱もゆったり、付近に村はないので  見晴らしもよい
澄んだ川水は豊かで 岸すれすれに流れ、鬱蒼と茂る樹々には季節はずれの花が咲いている
そぼ降る雨に 魚は顔をちょっと出し、そよふく風を  切って燕は斜かいに飛ぶ
城中には 十万戸の家がひしめくが、こちらはほんの二三軒だけだ

 詩題の「水檻(すいかん)に心を遣(や)る」は、川に臨んだ欄干に寄りかかってあたりを眺めやるという意味で、草堂の出来上がった晩春の作でしょう。春になって雪解けの水で増水した川水が岸いっぱいになって流れています。新居のあたりのようすが心をこめて描かれており、五言律詩の佳作といえるでしょう。

漢詩のきまりについて
 難しく考えないでください。日本人は漢字の意味が分かります。一区切りの言葉を分解していくことです。英語は単語の間をあけますが漢詩では開けません。
しかし言葉は原則2語と3語で作られています。
水檻遣心(水檻に心をやる)は五言律詩です。○○+○○○、○○+○○○。と読んでください。     韻
去郭+軒楹敞、無村+眺望余。
  ○○+○○○、○○+○○○。                  敞  余
澄江+平少岸、幽樹+晩多花。
  ○○+○○○、○○+○○○  澄江+平少岸、幽樹+晩多花  花
細雨+魚児出、微風+燕子斜。
  ○○+○○○、○○+○○○  細雨+魚児出、微風+燕子斜  斜
城中+十万戸、此地+両三家。
  ○○+○○○、○○+○○○。                     家