張籍詩
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哭孟寂 孟寂を哭す 張 籍
曲江院裏題名処、十九人中最少年。
今日風光君不見、杏花零落寺門前。
曲江の寺院の壁に 共に名前を書きつけた
十有九人のその中で 君が一番若かった
いま同じ景色のなか 君の姿はもはやない
寺院の門前に 杏の花は散るばかり
張籍はとても心のやさしい人であったようです。春二月、貢挙の合格者が発表になると、新しい進士は曲江の杏園で天子の饗宴を受けます。そのあと合格者は慈恩寺の大雁塔に上り、壁にそれぞれ自分の名前を書きつけました。張籍が進士になったのは徳宗の貞元十五年(799)で、七年後には憲宗の元和の冶、唐の中興の時代になります。官吏としては幸運でした。孟寂(もうせき)は一緒に合格した十九人の仲間のなかで一番の年少でしたが、若くして亡くなってしまったようです。それを哀惜する詩です。
曲江院裏題名処、十九人中最少年。
今日風光君不見、杏花零落寺門前
曲江院裏 名を題せし処
十九人中 最も少年
今日の風光 君見えず
杏花零落す 寺門の前
秋思 張 籍
洛陽城裏見秋風、欲作家書意万重。
復恐怱怱説不尽、行人臨発又開封。
洛陽の街に 秋風が吹き
便りを書こうとするが つもる憶いでいっぱいだ
慌ただしく書いたので 言い足りぬことはなかろうかと
旅人の出ていく際にもう一度 封をひらいて見なおした
張籍は貞元十五年(799)の進士及第者で、韓愈と同世代である。韓愈の文学改革運動に参加し、詩では人間感情の微妙な動きをとらえた。詩中の「行人」は旅人もしくは使者で、家族への手紙を旅行者に託して送ったのである。
春風を受けて得意満面、馬の蹄も軽やかだ。
長安の花を一日で見尽くしてしまうほど、晴れやかな気分だ。
洛陽城裏 秋風を見る
家書を作らんと欲して 意万重
復た恐る 怱怱にして説いて尽くさざらんことを
行人 発するに臨んで又封を開く
孟郊のように長年の浪人生活を強いられる者も多かった。一方で、あまりに難関であり絶望し、反乱を起こす者も出るなど、社会に歪みも生んだ。
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